・デンゼル・ワシントンの悪役振りは見事。アカデミー賞主演男優賞も文句なし。
・イーサン・ホークは目の細さに気弱さのイメージにつながるが、いかにも好青年といったところ。そこから却って抜け出せないのが役の幅に制限を与えている。
・大どんでん返しがあるわけでもなく、全体としては非常に順当な話の展開、終末。
・悪役のデンゼル・ワシントンに下手にいい所や優しいところをみせず、最後までしっかり悪役を通し続けているのもいい。しかしこれまで演じてきた役柄がどれもこれも善良な人間であったから、いかにこの映画で悪党を演じていてもどうも憎しみが湧いてこない。演技としては文句なしなのだが、これまでの役柄の経験がこの映画の中でマイナスに働いてもいる。
・こんなことはタラレバだが、まださして名前も通っていない頃にデンゼル・ワシントンがこの演技を見せつけていたら、きっともっと凄まじい悪意や憎しみを今回の役に抱いていたかもしれない。
・そこそこに見応えあり。作品の質も高い。だが、もう一つ際立ったなにかが欲しい、あったなら、もっと語られる作品になっていただろう。言ってみれば極めて標準的な映画であり、突出したなにかがない。