『少年メリケンサック』(2009)

宮崎あおいのこの映画でのキャラクター、その演技は凄い。『ラヴァーズ・キス』に出ていたときのような可愛くはちきれはしゃぐ姿は魅力的。
ある意味思い切った汚れ役とも言えるのだが、神妙な顔をした演技より宮崎あおいにはこういうギャグキャラが合っているんじゃないかと思うほどはまっている。

●今まで観てきたクドカンの映画はどれもこれもいまひとつであり、内輪受けだけに留まるような話、ギャグがてんこ盛りで全く面白いとは思わなかった。それが今回は最初からなかなかの面白さ、お、なかなか今回はいいんじゃない? と思っていたのだが、一時間過ぎたあたりから飽きてきた。詰まらなくなってきた。びっくりするような展開もなく、あらかた予想が付くお話。一時間で映画は同じことの繰り返しでワクワクしたものがなくなってしまった。付け足し付け足しのストーリーで作っていくのがロードムービーだとしても、大して変りないことをどんどん付け足していってたのでは面白くない。1時間半で切り上げれば締まったいい作品になっていたかもしれない。

●兎にも角にも、宮崎あおいの熱演、体当たり演技、そのキャラクターの可愛いらしさ、はちゃめちゃさがなによりも良く。それだけは文句なしにOKと言える作品。

●それにしても宮崎あおいの演技は素晴らしい。素を出しているのか、役をこころから楽しんでいるのかは知らないが、観ていて宮崎あおいの演技は本当に凄い、素晴らしい。

●他の女優がこんな役やったらわざとらしく、ミエミエでちょっと見ていて辟易してしまうことだろう。
(もしヒロスエがやってたら目も当てられない。バブルへGOでも酷かったし)

●トニモカクニモ宮崎あおいのハジけて、汚れて、もう今までの演技なんか全部ぶっ飛ばして神経を何本か切って、バーンと思いきりやってる演技が最高の映画。

●話は相変わらずのクドカン流で、しかも途中から全然息切れして面白くなくなる。後半は溜息交じりの詰まらなさだったが宮崎あおいが異常なまでに凄かったので、これは二重丸としておこう。