『おとうと』(1960)

・監督:市川崑 
・撮影:宮川一夫(映画初の銀残し)『羅生門』『用心棒』
・げん:岸惠子、母:田中絹代、田沼夫人:岸田今日子、 碧郎:川口浩

●女優陣はもうそうそうたる顔触れ。当時28歳の岸恵子は日本人離れした美形。

●アヒルの行列は斬新!

●どうもこの二人は姉、弟という風に見えない。恋人風だ。

田中絹代は流石の演技。演技が顔に出ていない、演技が演技に出ていない。主役ではないけれど明確な存在感。

宮川一夫のカメラは確かに特徴的。視線の高さがかなり意図的。光のあてかた、影の出し方も高い技術。だが、少しばかりその技巧が画面で目立ちすぎている、絵の前にしゃしゃり出て来すぎている。

●女優の演技、カメラの技巧は優れているが、映画の本分である話がいまひとつ、いや、いま三つか四つ。最後の終わらせ方は納得いかない。なんなんだこれは。考えさせるにしても無理がある。

●このラストは監督の自己欺瞞でしかあるまい。

●映画史に残る作品かもしれないが、名作かと問われれば、これは違うな。

●監督というよりカメラマンの作品かもしれないな。

http://www.mozartant.com/Jordan/Movie_Play/Miyagawa_camera.htm