NHK 『プロフェッショナル仕事の流儀』石岡瑛子

石岡瑛子(1939年産まれ 71歳)
記憶にあるところでは『ザ・セル』(2000)『落下の王国』(2006)、2008年北京オリンピック開会式・衣装デザイン。
ブロードウェイ・超大作ミュージカル《スパイダーマン》(史上空前の製作費54億)の衣装デザイン担当。音楽はU2が担当、演出はジュリー・テイモア

●実に奇抜なキャラクターのコスチューム・デザイン。舞台の上で動き回る7人の蜘蛛女フューリーの姿はイリュージョン、サイケデリックデカダンス、渾沌。

●演出のジュリー・テイモア(1952年産まれ 59歳)は演出家として画面に一度出て来ただけだが、このミュージカルのキャラクター・デザインには石岡のオリジナリティーだけではなく、明らかにジェリー・テイモアの個性、意志、カラーも反映されているだろう。
●石岡談
「遠くの舞台は距離があるのだからディテールなんて見えない!・・という人は何も見えない人だと思う」
「きちっとした仕事は全体の仕事を緊張に導くし、クオリティーアップに導く。演技自体が違う。いいものをあてがうことによって百倍くらいそれに対する関わり方が違う」
・この考え方、姿勢はまさに黒澤明と同じ。
・40歳でクリエイティブ行き詰まりニューヨークへ、そこでふと観たのが『七人の侍』だったという。古い日本の映画がニューヨークで未だに語り継がれて評価されている。本当に突き詰めた作品が持つ圧倒的な力。

《自分にしかできない新しいデザイン、圧倒的な本物を生み出せば時代を越えて評価される》
ORIGINAL : 誰にもまねできない。
REVOLUTIONARY : 革命的。
TIMELESS : 時代を越える。

●昨年末に公開されて以来、派手なワイヤーアクションなど画期的な演出を行った舞台は落下やワイヤートラブルなどが続き、評価は芳しくないようではある。新しい取り組みをすればなんでもトラブルはあるが、新しい舞台装置に対する徹底的な準備、トレーニングが足りなかった、間に合わなかったのかもしれない。予算不足や度重なる上演延期というのも斬新なアイディア、イメージをやり直しのきかない生の舞台で実現しようとしたところに難しさがあったかもしれない。










●白雪姫の実写版で、「セル」「落下の王国」に続いて再びターセムと組むらしいが、ターセムの撮る映画はどうも好きになれない。

●本当は石岡瑛子ジュリー・テイモアの語り、感性、イメージのぶつかり合いというようなものを見てみたかった。
ジュリー・テイモア『タイタス』『アクロス・ザ・ユニバース
『落下の王国』批評http://d.hatena.ne.jp/LACROIX/20090115

「地獄の黙示録 批評」ポスターデザイン 石岡瑛子
http://d.hatena.ne.jp/LACROIX/20090227




☆2012/1/21 訃報 石岡瑛子 ご冥福をお祈りする。
「私・デザイン」http://1000ya.isis.ne.jp/1159-2.html