『赤軍 PFLP 世界戦争宣言』(1971)

若松孝二監督『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』は恐ろしいほどに強烈な一作。その一作があったからこそ1971年の『赤軍-PFLP 世界戦争宣言』が2009年にDVD化されることにつながったことは間違いないであろうが・・・・・・

これは映画ではない。世界革命のための”ニュースフィルム”という言いかたも疑問。乱雑に映像を切って繋げた”資料”という物でしかない。そうこれは”資料”であり映画ではない。71分間資料を観るのは実にけだるい。退屈でもある。

●ラスト10分、重信房子のインタビュー映像は目を見張った。この映像は始めて見た。この女性が連合赤軍重信房子なのかと凝視した。自分が知る重信房子は大阪で捕まったときのメガネをかけた年老いたそれでも背筋をしゃきっと伸ばしたおばさんであったから、連合赤軍として世界でテロをおこなっているその活動最盛期の重信房子を見るのは今回が初めてだった。もっと写真や映像がネット上にも溢れていそうなものなのだが、今まで目にすることが無かった。〔YouTubeで検索したらワイドショーの映像が一つあった。
http://www.youtube.com/watch?v=TsmmjeLaZyE

●71分間の退屈な資料映像。重信房子のインタビュー以外にはもう資料としての価値も今はどれだけあるだろう? その重信房子のインタビュー映像以外に”映像としての力”が無い。こちらに突き向かって来るような迫力がない。映像の力ということならば『実録 連合赤軍 あさま山荘への道程』の強烈さには微塵も及ばない。

これは映画ではない。資料だ、1971年当時この資料に人を揺り動かす力があったのだろうか? この資料にその力があったのではなく、当時の状況が人を揺り動かしていたのではないか?

●こういう作品を語るとき、イデオロギーや時代背景のことにばかり話が行ってしまい、作品としての話からかけ離れる嫌いがある。

●映像作品としてはこれは極めて退屈な継ぎ合わせ資料であり、ラスト10分以外は流して見ればいいという気分だ。

●2010年の今、その当時の状況、赤軍連合赤軍、日本から世界へと活動を広げた重信房子日本赤軍のことを語るなら、それを知りたいなら『実録 連合赤軍 あさま山荘への道程』を観たほうがよかろう。

●世界革命・・・・それは2010年のこんな今にこそ本当は必要なのかもと時として思う。だが、当時から40年を経た今、そんな考えを口にだすのも憚られるような世の中。そんな考えは愚かで狂った考え方だと、芽は出た瞬間に摘み取られ枯らされてしまう。世の中が芽を全て千切りとって、根絶やしにしてきた。

●稚拙で独善的で愚かな行動、思想だったとしても、世界革命を起こそうとしてやっきになって動いていた人に、僅かな嫉み、羨望を感じないわけではない。もし世界革命が起きていたら、共産主義革命が起きていたら、かって歴史にあったような、フランス革命ロシア革命のような歴史を大きく塗り替えるような革命が1970年にこの日本で、世界で起きていたら、世の中は今よりもっとよくなっていたのだろうか? 所詮は人間の所業、流れ落ち、落ち着くところは権力の座を手にしたものが私服を肥やし、被支配層から搾取する世の中になっていたのではないか、そんな気がする。

●もう一度『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』を見返してみたくなった・・・・・。

Ref:2008-05-14日記  『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』革命が必要なのは今の日本