『天国の本屋 恋火』(2004)

●夏だし花火の映画もいいだろう・・・これもずっと観ていなかった作品だったし。

竹内結子は天国にいる翔子役の方が全然良い。花火大会を企画する香夏子役は竹内のいつもの尖がった部分が出ていて今ひとつ好めない。瀧本のところに押しかけ花火を打ち上げるよう強要するシーンはまたこのパターンの地を出した演技かと思ってしまう。

●空想の話、ファンタジーだと分かってはいても、最初からあまりにご都合主義的な状況設定にちょっと興ざめする。いくらなんでもこんな子供に聞かせるような天国の話はありか?と思ってしまう。「椿山課長の七日間」は同じく死んだ後のことを描いていたが、西田敏行らのキャラクター設定もあり、ギャグとして話を受け入れられるから面白かったが、この映画はギャグになりきれていない話の筋のため、キャラクターの設定や、天国という状況の設定などが白々しく感じてしまうのだろう。天国の本屋の何たるかは殆どアロハシャツを着たヤマキ原田芳雄)の店長に話させてしまうのだからこれも安易な作りである。

●ギャグとしてもっと面白くすべき部分が上滑りして下手なギャグになってしまっているから、引いてしまい、最初の20分位で「これは駄目だな、この流れで2時間続くのなら苦痛だな」と思ってしまった。

●竹内の一人二役、天国と現実の二重構造など脚本家は色々話を面白くしようと頑張ったのだろうけれど、どうも今ひとつのところで気持ちを引っ張り込んでくれるような話にならなかったようだ。あと少し練りこみがあったら、素材自体は面白いのだけれど。

●それでもなんとかとろとろと観ていたら、最後まで辿り着いた。ラストの花火を打ち上げるシーンはまあいいかな? だが、最後に打ち上げる恋火という花火・・・そんなに美しくも映し出されてもいない。ここもちょっと不満か? お金を掛けて大量に打ち上げる花火ではないのだから、設定上はこういう単発の花火ということであっているのだけれど、逆にファンタジーなんだからその辺の設定を無視して、最後に豪華で本当に綺麗だと思うような花火を見せてくれたら尚良かった。夜空に花火の残りが流れていくシーンは、美しいというよりも火事の炎のようでもあったし。

竹内結子の人気で引っ張ろうとした映画とも言えるか。香里奈はまだ若くかわいい感じもあるが演技はやっぱりペケ。

●苦言ばかりだが、肩の力を抜いてさらりと流すように観るのならまあこれでもいいか。最後はなんとかちょっとした温かさを感じさせてくれるし。

●一時間半にまとめてもいいような内容だけれど。