『奇跡のシンフォニー』

●ほんと、いくら神童の少年でもここまで短期間にジュリアード音楽学院の演奏を指揮するなんて!とも思うが・・・まあそういうことは目を瞑って、やはりファンタジーなんだからと思って、なかなかのイイお話に心をあずけたほうがいい作品。

●イイ話しではあるけれど、ちょっと話しが上手く行きすぎ、出来過ぎてるな? 月9のドラマのような感じもする。

●いくらなんでも、そこまで上手くはいかないでしょう。現実的じゃないでしょう・・・と途中で少し顔をしかめてしまうが、まあファンタジーとしてとらえればいいとするか? 

●「クラッシュ」で名演技をしたテレンス・ハワードがこの作品で善良なアメリカ市民の姿を自然に、素直に演じている。これは二重丸

●それに対して、これまで善良な役柄が殆どだったロビン・ウィリアムス(久し振りだなぁ)が、それほど極悪ではないが、ちょっとした悪役、ヒールを演じている。これもまたキャスティングとしては上手い。ロビン・ウィリアムスは悪役も似合うね。いつものあの笑い方は善悪両方に適合すると認識。(なんか鶴瓶とロビン・ウイリアムスが似ているなと感じてしまったが・・・)

●予想通りというか、劇場は女性客でイッパイ。中高年からオバサン層まで女性だらけ。都市部でこの映画の観客層はメインはOLとなるだろう。このタイプの作品はやはり女性に非常に受けるだろうし。有楽町スカラ座は日中はオオバマたち、夕方からは勤め帰りのOLで溢れているでしょう。

●音楽もいい。まあ、音楽のお話の映画だから音楽がダメじゃどうにもならないけれど。ルイス役のジョナサン・リス=マイヤーズが歌う別れてしまった女性を思う詩は字幕を読んでいても、音楽を聞いていてもなかなかイイ曲である。

●原題のAUGUST RUSH は色々な意味に取れるので、ちょっと難しい。邦題の「奇跡のシンフォニー」というのはまあなかなかイイ。 だけど、シンフォニー(交響曲)は最後の演奏の部分だけ。シンフォニーという言葉の響きはいいのだけれど、作品とは結びつかない。(離れ離れになった親子がシンフォニーを奏でるワケでもない。だからといってハーモニー(調和)でもない。作品の内容からすればレゾナント(共鳴)なんてほうが意味的には合っているであろうけど、それじゃあ題に華がないし。まあ、題から受けるイメージはイイが、シンフォニーというのは作品内容とはちがうイメージ優先の邦題の付け方だね。監督がこの邦題を聞いたら「?????」と思うかもしれないが。


☆映画批評 by lacroix