『かもめ食堂』  

●食事とか料理の映画を作れば外さない。それがフィンランドの首都ヘルシンキで日本人が経営する「かもめ食堂」のお話ぃぃ??
なんか狙ってない? 仕事がつまらなくて定時で会社を上がって、部屋に帰ってもすることがない、早く帰ると周りから恋人もいなくて寂しい女とおもわれる。だから街をぶらついて、お茶して映画でもみて時間を潰す。そんなOL層とかを狙って作ってるんじゃないの? 予告編を見たときの感想はそうだった。でも、実際に映画を見てみたら・・・・想像以上に良い、これも実に味がある。

群ようこが本作のために書き下ろした小説の映画化ということだが、果たして脚本はどんなだったのだろう? これだけシンプルで単純で、淡々としたストーリーが脚本ではホントにどう表現されていたのだろう? プロデューサーは脚本を読んでよくゴーサインをだしたものだ。群ようこという保険はあるだろうが、こんなシンプル極まりないストーリーは脚本はもっとシンプルだ、その脚本を読んで話しの内容を想起し(こんな単純な話しを感動する映像として想起するのも困難であろうが)それがイメージされ、当ると信じて出資し、映画を作り始めるというのは・・・良くそういうことが出来るなぁと思ってしまう。何か感覚的なひらめきがあったのかもしれないが・・・凄い事である。この映画の製作にゴーサインを出した人たちってのは。

●スマッシュ・ヒットをしたから、その製作陣の目は当っていたのか? それともラッキーだったのか? それは分らないが、作品はいい味を出したなかなかの佳作に仕上がっている。

●あまり背景もなにも話からない人が異国の地で食堂を始めて、なかなか人が来ない。でも何故か手伝ってくれる個性的な日本人は一人二人と増えていく。大したことのないストーリーなのに、この映画を見ているとスルメイカの用にくちゃくちゃやっていると段々味が出てきて面白くなっていく。いやはやこれは不思議というか絶妙である。こういう映画も日本で作れるんだなぁと感心。

●自分にとってはこういう作品は「なんでだろ、どこがいいんだろう。なんでこんな風に見終ると満足感があるのだろう?」とまだ意味不明で理解できていない。

●だが、この映画これだけシンプルなうえに、破綻がまったくなく、非常に完成度が高い。

●まったり系だとか、ほのぼの系、だとか癒し系だとか、そういった類いの作品になるのかもしれないが・・・・どうしたらこういう作品が作れるのかねぇ?? 観客を感動させようとか、驚かせようとか、泣かせようとか・・・そういう意図的な所が一切排されて作られている。いや、そういう所を全部とっぱらって映画を作るのってのはとっても怖いとおもう。やはり当らなければダメというプレッシャーもあるのだから。

●「いや、そんなことはないですよ。自分だったらこういう映像を見せられたらとってもほんのりとするし、いいんじゃないかな?って思う絵をとっただけなんですよ」なんだか監督のそいう言葉が聞こえてきそうな気がする。

●この映画はそういう意味で不思議なのである。何故スマッシュ・ヒットしかたは、ちょっと観客側から分析すれば説明できる。だが、この映画を作った段階ではどう思って作っていたのだろう。こんなにも単純で上げ下げのないストーリーがヒットするなって思ってなかっただろうに。監督に聞いてみたい気持ちである。

もたいまさこが出てきてから絵が締まったね。ラストも驚くほどシンプル、だけど、非常にいい。

●驚きの一作
 
☆『かもめ食堂荻上直子監督に直撃インタビュー:http://allabout.co.jp/gm/gc/206610/3/
かもめ食堂から見えるフィンランドの暮らし
フィンランド大使館、東京
http://www.tokyo-horei.co.jp/BGT/sample1_1.html