『ロード88 出会い路、四国へ』 

●ジャケットデザインの爽やかな感じに何かを期待するように観た作品。(CDで言えばジャケ買いということか)

●明日香(村上絵梨)がバンダナを被って、背中にはお遍路笠を付けているビジュアルがなかなかである。どんなストーリーが展開されるのかと期待を膨らませる。村上絵梨もなにかスポーツ選手のような爽やかな印象だ。

●だが、話しの中身はほとんど目茶苦茶と言ってもいい状態。白血病で余命いくばくと宣言された少女が四国88か所の”お遍路”の旅に出ることを決意する。そこで残された自分の人生で何かを見つけようとする。・・・・・・で、なんでスケボーなのか???? 若い女性のお遍路というところに面白みを出すのはいいが、余りに不自然だ。

●途中で出会うのは落ちぶれたお笑い芸人と、TV番組のディレクター。もう、観ていて欠伸が出そうな位凡庸な設定である。それ以上に演技や演出が小学生の演芸会レベルのベタベタな設定。セリフも演技もなにもかも「ありえない」と言いたくなるような酷さである。

●明日香が白血病でもうすぐ死んでしまうというのも、全然そういった切迫感がない。

●四国でオールロケ、お遍路を舞台とした映画として、作品の特殊性を出そうとしたのだろうが、これも脚本と監督があまりに酷すぎる。

●まあ、途中途中これまたベタベタな事件やエピソードがポツポツと張られていて、なんとか映画を見続けることはできるが、いくらなんでもこんなしょうもない脚本で映画を作っていたらそりゃ、ヒットなんて無理も無理でしょう。それこそ撮影した地元四国と、お遍路絡みの人たちに細々と公開する程度しか出来ない映画になってしまう。まあなんとか当てようと頑張っても、この脚本と演出の酷さでは・・・・・お手上げである。

●分かれた母親との再開、テレビで明日香がお遍路をしていることを知った母親の驚くシーン・・・・・いやいや、これももう究極のベタさ。

●最後にはなんともう死ぬだけと思っていた明日香が、献血だかなんだか新しい医療で助かる。助かってしまう。そして今度はホノルルマラソン〔だったかな?)に出場して走るシーンで映画が終わる。ひえぇ・・・・・・なんという予定調和的な、もう勘弁してよと言いたくなる位のご都合良い結末なのだよ、まったく。

●それでも、下手くそな演技ながら村上絵梨は爽やかな印象を残してくれる。そこだけが救いか。

●限りなくお子様レベルの脚本と演出。大学の映画サークルに入った一年生が初めて撮った映画・・・その位のレベルである。がんばりは見えるからそういう所は嫌いじゃないんだけれど、村上絵梨の爽やかさがなかったらどうしょうもない一作になっていたでしょう。