『ランボー 最後の戦場』

●映画自体はまるで80年代のテイスト。

●殺戮シーンはハイスピードカメラでむごたらしく人間の体が吹き飛ぶシーンをやたらとドカドカ映しているから、気持ち悪い。

●ストーリーは殆ど無しというか、もうアホじゃないのこの脚本と言いたくなるような時代遅れのステレオタイブなキャラクターとストーリーの設定。

●よくぞこんな脚本にゴーサインを出したものだと思う。

●日本は軍事政権を承認してるからミャンマーという字幕になり、アメリカはそうじゃないから未だにビルマと呼んでいるわけである。この辺りは日本の日和見、愚かさ、愚劣、愚昧な日本の政治家の象徴的な部分でもあるか。しかし、日本語字幕に於ては、ビルマとすべきなんじゃないの? 

●とにかくもう、見ていて呆れるようなストーリー展開とセリフ、お子様が作ったようなシナリオである。少なくとも今のハリウッドで脚本の勉強をしているようなそこそこの人物はこんな使い古されて手垢にまみれたようなパターン化したセリフやストーリーは作らないだろに。小学生や中学生の、まだそんなに映画も見ていない、テレビや小説や物語というものをそれほど読み込んでいないような年齢だったら通用するかもしれないが、普通の大人にこの脚本はありえん酷さだ。

ランボーがマシンガンを撃ち放ちビルマ軍を撃ち殺すシーンと、捕まって救出された女性が悲壮な(下手な演技で)顔をするシーンが交互に画面に映し出されるが・・・・おいおい、なんちゅう編集なんだよこれは。もう映画学校で基礎の映画文法でも習ったばかりの学生がやるような編集でしょうこれ。この編集で悲惨さを強調しようとしてるとでも言いたいのだろうか?笑止である。

●大体にしてランボーはその鍛え上げられた肉体で、機械に頼らずに敵をドンドンやっつけていくのが凄い所だったのだよ。なのにこの映画じゃ、殆ど武器をぶっ放して敵をやっつけてるだけで、戦闘マシーンとまで言われるほどに鍛えられた肉体も、戦術も、精神も何も使われていない・・・・シリーズの流れとして、大間違いでしょうこれ。

●兎に角、最初から最後までトンデモストーリーと、リアルさに力を入れた殺戮シーンばかりの連続。なにが最後の戦場なんでしょうかねぇ? そしてラストでは自分の故郷の牧場に戻っていく??? もうアポーンとしてあまりの幼稚さに開いた口が塞がらないでエンドロールを見てた。(エンドロール長すぎ)

●ハリウッドのメジャースタジオがテロップに無い。制作したのはドイツのEQUITY PICTURESというところらしい。この内容、この脚本、この時代錯誤的な映画に、メジャースタジオも、その下に無数にあるインデペンデント系のスタジオも腰が引けたのか? まあこの映画を見た後ではそれも分らなくもない。

●評価してる向きもあるようだが、ただの殺戮映画。ターミネーター3に勝とも劣らぬ酷さのシリーズ映画と言えるねこれは。

●1,2,3で少しはあったメッセージ性、抑圧された民族に対する悲しみと、抑圧する側への怒り・・・なんてものもこの映画にはない。

●これじゃあまるでミャンマービルマをオバカな殺人国家だと嘲っているようなものだ。

●女性はこの映画を見ないほうがいいね、殺戮シーンの残忍さだけではなく、他の部分でも不愉快になるだろう。そういう映像表現もあまりに時代錯誤。

●いやはや、2008年にもなってこんな映画とは・・・・どうしょうもないね。

★映画批評 by Lacroix