『ニューワールド』 


●幻の監督「テレンス・マリック」の久しぶりの作品。でも前作の「シン・レッド・ライン」は十何年ぶりに作ったんじゃなかったっけ? それから考えれば数年間のブランクだから今回は作るのが早いなと言う感じ。前作「シン・レッド・ライン」は非常に感銘を受けた作品。映像の美しさ、悲惨な状況の中で挟まれる動物、光、大地の美しい映像。スピルバーグが2001年宇宙の旅の現代版だって言ったらしいけれど、私も哲学的な内容と映像の美しさにガーンと来たものでした。かなり退屈な映画であり万人受けはまず無理な内容ではあったけれど・・・・。

●そのテレンス・マリックの最新作。題材はなんとポカホンタス。ん、これも見なくちゃなぁと思い忙しいのを無理やり都合付けて劇場に足を運びました。最初から最後まで相変わらずやってますマジック・アワーでの撮影。ストーリーはまたもやエンターティメント性なんて全然で、監督の思い入れと哲学で突き進んでいってるような内容。眠くなると思ってたけど今回は全然でした。

●話しは極めて単調、スローなんだけど・・・なにか魅かれるものがあり、結局最後までじっくり見ました。他人にオススメ出来る映画ではないけれど、現在のハリウッドが陥っているアリジゴクに真っ向から対峙するような映画じゃないかと思います。

●配給元は「タイタニックを越える現代のラブストーリー、ロマンスだ」なんて言ってましたが、いくら女性客を捕まえようとそんなコピーを付けても最近の観客はまったく騙せませんよ。主役のコリン・ファレルはちょっと作風に合わないんじゃないかなぁ。逆にクリスチャン・ベールが主役だったほうが良かったかも。クリスチャン・ベールはあれだけ整った顔なのにイマイチブレイクしないのが不思議。

キルヒャーという女優は未だ若いけど、次の作品が難しそうだなぁ。ま、大体にしてテレンス・マリックの作品は大本のハリウッド・メジャーが自社の日本支社には配給を任せず、どこか別の所にやらせてます。文化性、文芸性、哲学性の高い作品なんだけど、それゆえにエンターティメントに走ったハリウッドメジャーでは作品の取扱に躊躇して、大々的なヒットの可能性も低いからと自社以外に配給券を売っているという感じ。前作はパイオニアLDCで、今回は松竹ですか。んーどちらもババを引いてるかも。アスミックとかがきめ細かい宣伝で単館で回していったほうが回収は大きくなるんじゃないかと思うんだけどね。でもまあ、映像の神、テレンス・マリックの作品であるから及第点以上ではあります。

●ちなみに「女王陛下に謁見した最初のインディアン:ポカホンタス」を日本に最初に紹介したのはアメリカ史の大家 富田虎男教授(前立教大学)だが、富田教授はこの作品を見ていたとしたらどう思っているのだろう?

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http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=6823
ぴあ映画生活『ニューワールド』:http://pia-eigaseikatsu.jp/title/15166/
テレンス・マリック:http://ja.wikipedia.org/wiki/テレンス・マリック