『スターウォーズ9 / スカイウォーカーの夜明け』環は完結した。Circle is completed 収まるべき鞘に間違いなく正しく収まってくれた。
20世紀フォックスを買収し、ルーカスフィルムを傘下に治めたディズニーが、抜いてしまったスターウォーズという剣、ディズニーにはその剣は扱えなかった。
スターウォーズを映画の1つの素材としてしか考えていなかったディズニーにはスターウォーズを愛する人、映画ファンの心は理解できなかった。
外資系ではよく断りの文句としてこんな言葉が使われる「あなたとはカルチャーが合わない」と。アップルのスティーブ・ジョブスなんかも相手を拒絶する常套句がこれだった。
そして、ディズニーとスターウォーズは見事なまでにカルチャーが合わなかった。
カルチャーの合わないものが巧くやれるはずがない。だがそのずれた溝をなんとか修正し、スターウォーズを本来あるべき場所に戻してくれた、一度抜いてしまった剣をしっかりと正しく本来あるべき鞘に戻してくれたのがJJエイブラハムであろう。
レイがライトセイバーを炎の中に投げ込もうとしたとき、ルークが現れて言う「ジェダイの武器にはもっと敬意を払うべきだ」と。これはそのままJJがライアンと『最後のジェダイ』に向けた慙愧の言葉だろう。
『最後のジェダイ』の冒頭からルークはレイの差し出したライトセイバーを放り投げてしまう、その後も気高きジェダイの騎士を否定してしまうような描写が繰り返される。『最後のジェダイ』が今にしてこれだけ批判を浴び続けているのは監督であるライアンが「ジェダイに対する敬意を持っていなかった」せいなのだ。だからあんな作品になってしまった。ライアンはスターウォーズを理解していなかった、映像的には素晴らしいものであったが「最後のジェダイ」はシリーズ中で最低の烙印を押される作品として残ってしまったのだ。
JJがこの作品を撮らなかったら、スターウォーズの物語は崩壊していたかもしれない。JJがこのエピソード9で崩れかけたスターウォーズをなんとか元の鞘にもどしてくれたのだ。
スターウォーズはスターウォーズを愛する人の元に、ファンの元にもどってきた。これでいいんだ。斬新な展開、はっと驚くような新しいストーリーなどもういらない。「エピソード8/最後のジェダイ」でグサグサに壊されてしまったスターウォーズを最後に元の姿に修正してくれたのだ。
それが今回の「エピソード9/スカイウォーカーの夜明け」なのだ。
観終た時点で大きな感動はない、だけど「よかった、これでよかったんだな」という安堵感はあった。
ディズニーによる新三部作で迷走しかけたスターウォーズという物語が、1974年に始まった44年にも及ぶ1つのサーガがなんとか形を保ったまま終わってくれた。
それは正に『環は完結した。Circle is completed 』というEp4のダースベイダーの言葉なのだな。
I am your father.
そして
I’m Rey Skywalker.
ルーカスが創り出したスターウォーズの世界は完結した。
ディズニーはこの先、スカイウォーカー家の物語とは全く別のスターウォーズシリーズを計画しているという。しかもその監督がライアン・ジョンソンだという・・・止めてほしいなという気持ちだ。