『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

(注)内容について詳しい記述あり。

・観賞の後の興奮や感動がまだ冷めやらない! 思い出す度に気持ちが高ぶり興奮が蘇る。

・大スクリーンに映しだされる撃ち落とされ破壊され砂漠に埋もれている戦艦。画面が流れていくと・・・スターデストロイヤーではないか! その瞬間、今自分が長い時間をかけてついにSTAR WARSサーガの続きに辿り着いたのだと強烈に、はっきりとそして感動を持って認識する。これは紛れも無くエピソード6の続きなんだ! このたったワンシークエンスだけで頭の中がスターウオーズの世界に引きずり込まれた。そして、戦艦の瓦礫から部品を集めている少女(レイ)が一人寂しそうに食事をしているシーン。レイの背後にあるものが最初はなにか壊れたシェルターかなにかだろうと思っていたが、カメラがゆっくりと引いていくと、それがあのAT-ATスノーウォーカーが横倒しになっているものだったのだと分かる。もうこの2つのシーンだけで「やった!」「すごい!」と叫びだしたくなる、ワクワクして心臓がドクンドクンと鼓動する。エピソード4から6までに登場した宇宙船やマシンがスクリーンに現れるたびに「おーっ!」「あーっ!」といった驚きや感激の声が劇場に沸き起こる。自分も拳を握りしめて心のなかで「やった!」「おお、すごい」と同じ言葉を繰り返し叫んでいる。堪らない興奮と魂を揺さぶるような感動が体中から湧き上がり満ちてくる。感激のあまり思わず目頭に涙さえ滲みだす。こんな興奮と感動は久しぶりだ。

・素晴らしい! この映画は、この映画のスタッフはSTAR WARSファンの心を、気持ちを、期待を、望みを、その全てをしっかりと心得ている。STAR WARSのファンが何を望み、期待し、待っていたのか、そのツボを全てしっかりと押さえている。最初の十数分を観ただけなのに、既に思い始めている自分がいる。「最高だ!」「これは傑作だ!」と!

・思い出の登場人物や宇宙船の出し方も心憎いまでに巧みな演出が施されている。「こう出すのかぁ!」とその上手さに思わず嫉妬してしまうほどだ。
「こんなに上手いことやりやがって、最高じゃないか!最高すぎるじゃないか!」嬉しさの余りそんな風にさえ思ってしまうほどだ。

・なかでも断トツにカッコ良かったシーンと言えば!

☆ファースト・オーダーのタイ・ファイターに攻撃され、レイがフィンと共に砂漠を走って逃げるとき、前方にあった宇宙船に乗り込んで逃げようと二人が必死に走って行くのだが、その宇宙船にたどり着く前にタイ・ファイターの攻撃で宇宙船が爆破されてしまう。唖然とする二人だが、とっさにレイが叫ぶ「あっちのポンコツに逃げ込むのよ!」指差し駆けていく先には砂に突き刺さり埋もれた放置されたようなガラクタが宇宙船が・・・・だがその宇宙船の姿がすべてスクリーンに映しだされた時、胸の鼓動がドクン!と張り裂けそうなほどに高まる! そのポンコツ宇宙船は、なんと、あのミレニアム・ファルコンなんだから! もうこの演出に涙が溢れだして堪らない。最高だ! またしても「やったー!」と叫んでしまう。劇場の興奮もかなり高まってきた!

このミレニアム・ファルコンの飛び方がまたいい! 今まではどちらかというと直線的な動きが多かったファルコン号だが、レイが操縦して飛び上がると、砂漠の上を追ってくるタイ・ファイターやスターデストロイヤーの残骸を、ひらりふわりと水の中を浮く魚のごとくかわしながら飛んで行く。予告編でも使われていたが、このミレニアム・ファルコンの飛び方がとてつもなくカッコイイ、最高だ。

☆レイとフィンが乗ったミレニアム・ファルコンはタイ・ファイターの攻撃から逃げ切り、惑星ジャク−から宇宙空間へと飛び出す。ようやく逃げ切った!と安心した次の瞬間、ファルコンの操作が効かない、ロック・オンされた!と二人が気付いた時、ファルコン号は巨大な船艦の格納庫に飲み込まれていく。これは正にエピソード4の冒頭でレイア姫の乗った宇宙船がスター・デストロイヤーにロックオンされ飲み込まれていくシーンをそのもの、きっちりとあのシーンをなぞらえたものではないか! なるほど、こういうオマージュも組み込んでいるのか! と感心しつつ、心のなかでは当然、エピソード4と同様にスター・デストロイヤーから敵が乗り込んでくると予想する。レイとフィンもファースト・オーダーに見つからないようにファルコン号の地下に身を潜める。さあ、どんな奴らがファルコンに乗り込んでくるのか、カイロ・レンか、ストーム・トゥルーパーか!エピソード4になぞらえるならダースベーダーがやってくるのだから、きっとカイロ・レンが来るんじゃないか、ワクワクどきどきしながら想像が掻き立てられる・・・・そして・・・予想は数百万%の驚きでひっくり返される! 

ファルコンに乗り込んできたのは・・・! まさか! 

劇場内がざわつき、歓喜の声があちこちから沸き上がる! こんな憎い演出してくるとは! くぅなんてサイコーなんだ!なんてカッコイイんだ! ヤッタ−と声を上げて拳を振り上げたくなる。身震いがする、嬉しくて涙が目の端に滲んでくる。

We are home! 我が家だ。帰ったぞ!・・・・2015年、STAR WARSシリーズにまた新たな名台詞が生まれた!

巧い! この映画は本当に巧い! 何度も繰り返すが、この映画は、この映画の監督は、脚本家は、スタッフは、2015年の今、STAR WARSファンがどうしたら喜ぶのか、どうやったら最高に喜ばせられるか、そのツボを本当にしっかり心得ている!

☆惑星タコダナに襲来したカイロ・レンとストーム・トゥルーパーの軍に追い込まれた時、はるか向こうからけたたましい水煙を上げて何かがやってくる!「援軍だ!」というセリフの後にスクリーンいっぱいに現れるのは、あのXウィングの編隊だ! これまた何度も同じことを書いてしまうが「ウォー!やったー」と見ている側が雄叫びを上げてしまうほどのかっこよさと嬉しさだ!

☆カイロ・レンの登場の仕方も、エピソード4でのダースベイダーの登場のシーンに重ねてあるし、カイロ・レンが姿を表わす前でも、スクリーンに移ったシャトルがダースベイダーの乗っていたインペリアル・シャトルに形と気がついて、乗っているのは奴なんだとわかるようになっている。なんとも細部まで作りこまれた映画だ。

☆かっこいいシーン、劇場に歓喜の雄叫びが上がるシーン、身震いして魂が震えるようなシーンが次々と繰り出される。これはまるで豪華絢爛多種多様な料理の数々。最上級フルコースディナーか!中華満漢全席か! 最高の腕で料理された最高の料理が次から次へとスクリーンというテーブルに運ばれてくる。それがこれでもかというくらいのてんこ盛りで矢次早にだ。もう一杯だ、もうこれだけで充分に満足だ、いや、まだだ、もっともっとほしい、もっともっと味わいたい。そんな映画と言えるだろう。

・映画を観ながらこれだけワクワク・ドキドキし、次はどうなる、次は何が来る。と期待に満ち溢れ映像の世界に完全に取り込まれてしまうような作品はそうそうあるものではない。STAR WARSを初見という人や過去作を余り見ていないという人にとってはどうかわからないが・・・この《STAR WARS フォースの覚醒》はSWファンにとっては最高の、いや最高を更に超えたような、心躍り魂を揺さぶられ、感涙に咽び、涙しながら喜ぶ、傑作中の傑作と言っていいだろう。

・最初に届けられたこの特報第一弾、ファルコン号の飛ぶ姿のかっこよさに目を奪われたが、フィンが砂漠の中から画面に突如として顔を出すシーンは、これぞまさに黒澤明隠し砦の三悪人」の冒頭シーンのオマージュ。こんな所にもこの監督のSTAR WARSとその元となった作品に対する敬意と愛を感じる。

・TV予告編でマズ・カナタの言っているこの言葉、
I have lived long enough to see the same eyes in different people.
I see your eyes.
I know your eyes.

わたしは充分に長く生きてきたさ、そして沢山の人のなかに同じ目を見てきたんだよ。
私はお前の目を見たことがあるよ。
私はお前の目を知っているよ。

このセリフの後にレイがアップで映しだされ、画面の中でレイの目がどこかを見上げている。

まさにレイの目を語っていると思われる繋ぎで編集している。

これを見た時に「そうか、そういうことなのか、レイはジェダイの系譜にいるんだ、レイこそがジェダイの正義を銀河で受け継ぐその人物なのだ、そういっているんだ!」と謎が解けたように納得したのだが・・・

実際に映画を観たところマズ・カナタのこの言葉はレイではなくフィンに向けられたものだったのだ。えー、なんで? と思ってしまった。どう考えたってこのマズ・カナタのセリフはなにか重大なことを言っていると思えるじゃないか。ルークの子供、新しきジェダイであるレイを指している言葉じゃないか。それなのに、この言葉はフィンに向けられたものだった。これって予告編製作でよくある本編のいいとこ取り、本編内容無視の勝手改変編集ってやつか? と憤ったのだが、いや、もっと深く考えると・・・次回作以降でやはりフィンがなにか重要な役割をすることへの暗示なのかもしれない・・・ひょっとしてフィンもフォースの強い家系の一人? んー、どうなるんだろう。
http://www.youtube.com/watch?v=9owoYz5ikvI:movie:W630

・ヒーローであるハン・ソロが死んでしまう場面。SWシリーズの原案にはギリシャ神話から“父親殺し”がテーマとして取り入れられているということであったが、まさかこの新シリーズでソロが息子に殺されるとは予想していなかった。4,5,6の三部作がダースベーダーの贖罪ということがテーマであるともいわれているが、新しい6,7,8の三部作はカイロレンの贖罪が一つの大きなテーマとなるのだろうか? 懲罰とも考えられる右手の切り落としもまたどこかで出てくるのだろうか? それにしてもソロがあんな殺され方、死に方をするとは・・・。

ハン・ソロの最後で更に気になることといえば、その死に方が深い深い宇宙の底に落ちていくかのように、突き落とされて消えていくという点だ。この死に方はダース・シディアスダース・モールと全く同じではないか。我らがヒーロであるハン・ソロの死に方がダークサイドに囚われたシスと同じなのか! ここにも何か意味が込められているのか? それともこれは考え過ぎか? どちらにしろ、ハン・ソロのあの死に方は納得できないものがある。ソロはシスとはその存在が映画の中で全く違うのに・・。

☆二回目観賞後

日本語吹替版のほうが言葉の情報量が圧倒的に多いのでストーリーの理解には役立つ。二回目をみて疑問に思っていたところもなんとなく分かってきた。

それ以上に、一回目では細かく追いかけて見ていなかったところまで字幕を追う必要がないので良く観ることが出来た。

初回ではなぜか気が付かなかったのだが、これは笑えるという面白いシーンがあった。ハン・ソロとフィンがスターキラーに侵入し、シールド装置を停止させるために考えついたのが、キャプテン・ファズマを捕まえて装置を停止させようと言う案なのだが、二人がキャプテン・ファズマを捕まえたときにフィンのセリフや表情がめちゃくちゃに面白く笑えた。

フィンとしてはトウルーパ軍下っ端の一兵卒で一番偉いファズマには絶対服従、何を言われても文句を言えない立場だったわけだが、ソロと一緒にファズマを捕まえた途端、目をキラキラ輝かせてくっきり見開いて「はっはっはー、ざまーみろコノヤロー、もうお前なんか怖くないぞ」とばかりにファズマに食って掛かっている。それを隣で見ていたハン・ソロが「おい、落ち着け」と窘めるシーンがこの映画の中では一番に笑える所だった。その後、シールドを停止させたファズマをどうしようかとハン・ソロが言うと「へっへー、このバケツ頭野郎、どうしてくれようか」とフィンがもう狂喜乱舞しながらファズマに突っかかって行く・・・いやはやまったく、その姿を見てハン・ソロは肩をおとして「どうしょうもないやつだな」と呆れているようでもある。そしてファズマをどう処理するかということで「ダストシューターに落としてしまえ」となったときの、フィンのもう嬉しくて嬉しくて堪らないような顔・・・・まるで今までイジメられてきたガキ大将に恨みを晴らしてやっつけちまうときのようなガキの顔である・・・2回目は細かい所までじっくり見ることが出来たのでこんな点にも気が付き、熱中しながら見た一回目とは違った意味でスター・ウォーズ/フォースの覚醒を楽しむことが出来た。

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