『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』

注)ネタバレあり

・正直、ローグ・ワンには全く期待していなかった。最初のトレーラーが公開された時、主役であるジン・アーノの顔つきがなんともパッとせず、なんだか暗くて主役を務めるヒロインとしての華やかさや輝きがまったく感じられないというのが最初の印象。

・監督がギャレス・エドワーズというのも“ う〜ん ”という感じだった。「あの2014年のハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』の監督。日本の怪獣映画が大好きで日本のアニメなども好きでかなりのオタクというのはまあ映画製作にはプラスかもしれないが『GODZILLA ゴジラ』は内容も出来もチャンチャラ日本の真似事から脱しておらず、ゴジラの造形にしてもこれじゃどうしょうもない。という内容だった」ギャレスが監督するとなると作品のレベルは自ずと知れるだろうという気持ちでもあった。

・しばらくすると6月頃に「ローグ・ワン」の撮り直しがディズニー・スタジオから要求されているというニュースが。ギャレス監督の描く映像があまりに暗く、スターウォーズシリーズに馴染まないとか、監督を交代するだとかそういう話も。このニュースを聞いたときは「ああ、やっぱりなぁ、そうなるか」と思った。自分もトレーラーのイメージがあまりに悪かったからだ。

・その後、追加のトレーラーやキャラクターなどが発表になっていくと、まず第一にあまりにも中国市場に媚びたキャスティングをしている点が鼻についた。まあ、かって日本市場が有力視されたときはハリウッド映画でやたら日本で売ろうという魂胆がミエミエのキャスティングが度々行われた時期もあったので、巨大市場に育った中国を無視するわけにはいかないというのはわかる。だが「ローグ・ワン」はスター・ウォーズという一連の作品の一部なのだ、単発の作品ではない。そこに作品世界の流れを無視したような金儲け主義のキャスティングや演出、脚本を入れることは作品そのものを貶める。ファンが求めているものはスター・ウォーズという一つの夢の世界なのだ。何をやってるんだディズニーは、ギャレスは・・・どうしょうもない! そんな風に思った。

・登場人物が並んだビジュアルが公開された時も、え、なんだこれ!と思った。まるで日本のアニメを真似たようなキャラクターの面々。ドラゴンボールとか、そんなアニメのイメージが真っ先に浮かんだ。「ああ、ギャレスはまたこんなことやってるのか、もうだめだ」と思った。やたらどでかい甲冑を身につけたようなゴリラみたいなのは・・・なんか、どこかで見たことあるな。中国人の僧侶みたいなのも・・・んー。これはもう駄目かも・・・。

・と、何一つ良いイメージが湧いてこないまま、ほんとに、ほんとに、まったく期待せず「まあ、一応観るだけは見ておくか」という程度の気持ちだった。

・そして映画が始まると・・・なんと、あのスターウォーズのオープニングが無い! えー、あれはスター・ウォーズ・シリーズとしては出だしに必須なのではないのか? あれがあるから、あのジャーンがあるから一気に現実の世界から映画の世界に気持ちが切り替わって映画を最高に楽しめるんじゃないか? あのオープニングを抜くなんてなんたることだ・・・と思った。

・そしてしばらく見ていると、なんだか雰囲気がこれまでのスターウォーズ・シリーズと違う。なにか奥行きのようなものが感じられない。薄っぺらな話がすすんいく。「ああ、やっぱりこれはスター・ウォーズらしさがないぞ、これは完璧な失敗作なんじゃないか」そう思えた・・・登場人物たちの演技もどうも軽薄で、重みがない。やはり売れ筋ではないあまり有名ではなない俳優でそろえたせいか、とにかくジワっとくる味のようなものがまるで感じられないのだ・・・。

・しかし、30分を過ぎた辺りからだろうか、ストーリーがムクムクと動き出してくると・・・ん、ん、ん、なんだか面白くなってきたぞ。あれ、なんか良くなってきたぞ・・・なんなんだったんだ最初のあのダメダメ感は、だんだかムチャクチャよくなってきてるじゃないか! と映画に夢中になっている自分に驚く。

・そしてラストまで突っ走る! ダメダメ映画だと思っていた自分のファーストインプレッションは杞憂に終わった。ローグ・ワン!メチャクチャに面白かった。

・いかにもアニメチックなキャラ達で、なんだか冴えない顔つきの連中ばかりだったのだけど、驚いたことにこのキャラ全員が、もの凄くイイ奴らばかりなのだ。それこそ日本のアニメっぽいとも言えるのだけど、あざといなと思っていた例のジェダ寺院の僧侶も・・・いいやつなのだ。ベルズもキャシアンも今ひとつ冴えないのだけど、でも最後にはイイ奴だなって思えるのだ。まったくダメダメなパイロットに思えたボーディ−も・・・泣けるくらいイイ。主役のジーン・アーソも、ほんと今ひとつ華がないのだけど・・・でも、やっぱりイイ奴なのだ。そしてなんといってもロボットの K-2SO が見事なまでにイイ、ひねくれキャラのイイ奴なのだ。そう、ほんとにびっくりした、ローグワンのメンバーが全員、ホントにいいやつらばかりだったのだ。まるでワンピースの仲間みたいな感じだ!

・なんだかセリフも設定も演出も、日本のアニメからかなり持ってきてるなという感じがするのだが、それが却って馴染みやすさにもなっているのかもしれない。

・まあ、もちろん色々ツッコミたいところはあるのだが、見終わった感想は、素直に「よかった、楽しかった! これはなかなかの一作だ」となった。

ROGUE = 無法者、荒くれ者、はみ出し者・・・・俺たちはローグ・ワンだ! そうか、そうだ、なかなかカッコ良かったぞ!




《以下完璧ネタバレなので、観終えた方のみどうぞ》

・AT-ATスノーウォーカーの描写はなかなかよかったね。脇からドカンとミサイルを食らって首をガクンと振りながらもまたこっちを向くシーンはオオといいたくなるかっこよさだった。でもやっぱりエピソード5の雪の中のシーンのほうがいいかな?

ダース・ベイダースターウォーズ・シリーズ全作品のなかで一番凶暴だったかも? 愛するパドメを失って、ダークサイドに落ち、パルパティーンの元で今が権力とダークサイド・フォースの力の絶世期とも言える時期だろうから、もうぶった斬り殺しまくり・・・いやはや。

・スター・デストロイヤーに襲いかかるXウイングの集団・・・しっかし、なんで TIEファイターが飛び出してこないんだ。スター・デストロイヤーを囲んで宇宙での戦闘機バトルをするシーンには TIEファイターとのドッグファイトが欠かせないだろう! それがいつまで経っても TIEファイターが飛び出してこなくて、Xウイングだけでスター・デストロイヤーを攻撃してる。「これはありえん」と思ってたらようやく一斉に TIEファイターが飛び出してきて戦闘本格化。オイオイ、遅すぎるぜ、TIEファイターが出てくるのがあまりに遅すぎるよギャレスさん、わかってんの?

・スター・デストロイヤーが真っ逆さまに落ちるシーンはオマージュとして最高!

・そしてだ、一番期待したシーンでもあり、一番よろこび飛び上がったシーンでもあるのだけど、改めて考えるとあれじゃ駄目だと思う、徹底的に駄目だとおもうのが、ラストだ。

・反乱軍兵士が駆けつけた部屋には、白いあの衣服を着た女性がこちらに背を向けて立っていた。そうだ、そうだ、ついにレイア姫が出てくるんだ、どうなるんだ、と振り返ったレイア姫はCGで見事に合成されたエピソード4当時の若々しいレイア姫だった。このシーンを見た時は「うひょー」っとめちゃくちゃ嬉しくなった。「フォースの覚醒」でハン・ソロとチューバッカが登場したシーンにも勝る最高のシーンだ。兵士が「これは、いったいなんなんですか」とレイア姫に尋ねる。するとレイア姫は・・・・・

・最高にいいシーンだった、めちゃくちゃ胸がドキドキした。しかしだ、ちょっと思い出すと、あのシーンであのレイア姫の顔つきはないな。なんだかちょっとにやけたような顔つきで「・・・・」と言う。いや、違うだろう。本当のレイア姫ならエピソード4の冒頭で見せたような不安と悲しみ、憂いをもったような表情であるべきだ。沢山の兵士が死んで、ジェダの都市もデス・スターに破壊され多くの人が死んだ中でもたらされたアレを受け取ったならレイア姫は、深い悲しみの中であの言葉を話すだろう。それが・・・なんだか半分にやけたような顔なのだ。ようやく手に入れて嬉しそうな、そんな顔なのだ。おいおい、ギャレス! あの顔はないだろう。せっかくレイア姫を復活させたのに、なんで表情にもっと気を配らなかった、その辺がまだまだギャレスの監督としての若造ぶりなのかも、しかしスタッフにしろなんにしろ、あの表情はおかしいとすべきだろう。(ちょっと怒り)

・スター・デストロイヤーがなんかやたら真っ白で塗装をしてないプラモデルみたいなのがあったり、爆発して人やトゥルーパーが吹っ飛ぶシーンが、どれもこれもいかにもワイヤーで引っ張ってますってわかるような飛び方してたり、そしてそういうのが何度も繰り返されたり、そういう細かいとこにも気になる部分が多々あった。

・そしてまたラスト近くだが、ジーンとキャシアンの最後となるシーン・・・これってまんまディープ・インパクトじゃないか。もうちょっと工夫しろって言いたい。

・最後に、何よりも驚いたのは、いかにこのローグ・ワンがスターウオーズ・シリーズのスピンアウト作品で、一作限りの物語だとしても、まさか全員が最後に消滅してしまうとは思いもしなかった。俺たちは荒くれ者さ、ローグ・ワンさ! そういって仲間になり助けあってデス・スターの秘密を手に入れる。最初はおもっていなかったけど、ローグ・ワンの面々は本当にイイ奴ばかりだった。そのイイ奴らが全員最後には消滅してしまう物語だなんて、ちょっとそれは悲しすぎた。

・いずれにせよ、期待度ほぼゼロだったのに、この「ローグ・ワン スターウォーズ・ストーリー」はなかなかに最高の気分にさせてくれる映画だった。他のスターウオーズシリーズと色彩の並びはちょっと違うが、なんだか日本のアニメっぽくもあるが、そういう思い以上に、もの凄くいい作品、胸が高鳴り心躍る素晴らしい映画だったといえよう。