『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』

●先日『ターミネーター4』を観てSFはもう暫く見なくていいとまで思ったのだが、やはりスター・ウォーズは別格だった。これはSFという類別ではなく、映画として上等なのだ。

●何かガツンと来る、見応え、手応えのある映像、映画を観たい。そう思ってあれこれ考えた末に選んだのがこれだった。なんだかもうずっと昔に観たような気がする映画なのだが、実はたった4年前。初期三部作からイメージが繋がっているから昔に見たような気持ちになるのだろうか?

●劇場で観たときは衝撃だった。ダース・ベイダーが遂に誕生というところまでの映画だが、特に終盤の熔岩ドロドロの惑星での戦いは壮絶で、アナキンの両足が切り落とされ熔岩の熱で体に火が点きじりじりと燃えていく様はかなりショックだった。体中が燃えながら恐ろしい目で「オビワン、お前を憎む」と叫ぶアナキンの表情は凄まじい。 このシーンにはかなり胸を突かれた。劇場でもショックであったし、DVDが発売され再見したときもショックだった。このシーンはスター・ウォーズ・シリーズの中でも特別な意味を持つ名シーンであろう。今回もこの名シーンを見たくてDVDを手にしたようなものだ。

●やはりスター・ウォーズは凄いなと改めて感嘆した。映像密度の高さはこれまた凄い。最初エピソード1を観たときは画面中に飛んでいるあれやこれやの宇宙船に「ごちゃごちゃしすぎていないか、これ」と思ったものだが、今になってみるとそんな気持ちがなくなって凄いとしか思えなくなっている。これだけの映像のイメージを積み上げるというのはやはり相当の努力あってのものだろう。単発的なイメージではなく、全体を通して僅かなスキも無いほどに塗り固められたスター・ウォーズのイメージ。・・・・んー、やはりもうここまでくると何も言えない。凄すぎる。

●エピソード3だけを観るつもりだったが、結局ダース・ベイダー贖罪のストーリーを全部観たくなって、夜更かししてしまった。

●エピソード3、エピソード5、エピソード6とダース・ベイダーのシーンを繋げて見た。やはり「エピソード5/帝国の逆襲」ラストは超一級の出来だ。ダース・ベイダーがルークに向かって「I AM YOUR FATHER」と告白するシーンは何度観ても鳥肌が立つ。もうずっと昔、劇場でこのシーンを観たときは余りの衝撃に胸の鼓動が止まらなかった。映画であれほど衝撃を受けたというのは数少ない。あの時は劇場を出ても暫く何も話せない位衝撃を受けていたなぁ。懐かしい。そして「エピソード6/ジェダイの帰還」のラスト。ダース・シディアスに殺されかけているルークが「父さん助けて」と叫ぶ。それをダース・シディアスの隣で見ていたダース・ベイダーの表情。マスクをかぶっているのだから細かな表情なんて出るはずないんだけれど、我が子が苦しみ助けを求めるその姿に、暗黒面に落ちていた心が揺れ、ルークとダース・シディアスを交互に見、そして遂にダース・シディアスを持ち上げリアクターの中に投げ落とす。 このシーンの演出の凄まじさ、上手さには何度見ても感動する。微妙にダース・ベイダーのマスクのニュアンスも変えていたという話も聞くが、それでも人間の顔とは異なり眼の動きも唇の動きも何も分からないマスクだ。なのに、ルークを見つめるダース・ベイダーの目の部分に迷いと悲しみが確実に滲み出ている・・・これはどうやって撮影したんだろうと驚いてしまう。あの真っ黒なマスクが感情を表現しているのだから・・・。

●何気にエピソード3を見てしまったため、5,6までも繋げて見てしまったが、やはりルーカスが言ったように、スター・ウォーズダース・ベイダーの贖罪の物語なんだなぁと納得し感動した。この感動は多分5年先も10年先も20年先も同じように続くだろうなぁ。何度見ても感動してしまう映画とはどれだけ素晴らしい映画だろうか。

スター・ウォーズはSFではないのだな。いや単純なSFではなく、やはり人間の愛情や悲しみのストーリーがきっちりと描かれているからこんなにも多くの人に愛されるのだろう。

スター・ウォーズはヒューマンドラマだ!それも極めて中身の濃い、心を揺さぶる感動のある最高峰のヒューマン・ドラマなんだと改めて思った。

●感激だ!やはりいい映画を観ることは素晴らしい。