『インセプション』

・映像は確かに凄い・・・いや、凄いというのではなく手が込んでいるというか、金がかかっているというかそれだけというべきか。こういう映像もよく作れるものだなとは思うが、凄いなーとは思わず、よくやってるなぁという感想。もういくらこういう映像を見せられても凄いとも思わず、驚くこともなく、感動することもなく、感激することも無く、ふーんとただ観ているだけ。

CGIの映像はCGIの映像と分かってしまうだけに、そこに実写のスケール感や重量感、圧迫感はどうあっても無いのだ。どれだけ本物と見間違うような映像でもそこに実写の空気感や重量感、スケール感はないのだ。もうそれは分かり過ぎるくらい分かってしまってどうにもならない。

マトリックスのリメイクのような内容、映像に、気持ちが動かされることも無い。なんだか主演も同じだというのもあるが「シャッターアイランド」をまた観させられているかのような感じ。

・話を複雑にし、階層を重ねていっても、話がそれだけに留まる。面白くないのだ。面白くしよう、させよう、面白がらせてやろうと監督がすればするほど、シラケの度合いが強くなっていく。

・こんな面倒臭い映画なんていらない。観たくも無い。ふー、またかという感じで、これもハイどうでもいいですという感想が残ったのみ。

・こういうのを観てしまうと「ソーシャル・ネットワーク」の極めて正道、まっとう、ど真ん中の真っ直ぐな作りながら面白くて目が離せなかった映画がどれだけ凄いか、少ないかというのが改めて痛切に感じてしまう。

バットマンを徹底的に高品質の「ダークナイト」に作り変えたクリストファー・ノーランだが、これではもう奇異を衒い過ぎ、そればっかりになっている。マジックショーを観ているわけでもないし、奇術ショーを観たくて映画を観ているわけじゃないんだ。