『ジャスティス・リーグ』

・『ワンダーウーマン』がなかなか以上に良かったので、DCのヒーローシリーズであるこの『ジャスティス・リーグ』にはかなり期待していた・・・のだが・・・まあ、そこそこに面白いけれど、ちょっと期待しすぎたな。この手の映画に一番に期待する「やったぜ」「サイコー」といった爽快感、満足感というものは、いまひとつというところ。期待しすぎた分だけちとガッカリ。

・出だしからなんとも暗〜い歌詞の歌が淡々とながれる、なんだかこの世にはもう希望も何もない、諦めろ、悪が支配てしまってるんだ、とか言う感じの歌で「ん〜、なんだこれはダークナイトクリストファー・ノーラン趣味をジャスティス・リーグでも真似てるのか、違うだろう、こっちはもっと明るくカッコよく行かなくてはだめだろうと、なにか作品の方向性に疑問が湧く。

・しかし、そのドーンと暗い出だしが終わると、なぜか今度はユーモア、ジョーク混じりの展開に変わる。んー、なんか脚本が迷走している感じ、これは嫌な予感。

・脚本の教科書みたいなものには、よく「主人公の葛藤を描け、人間の深みを描け、そこに観客は惹かれるのだ」とか書いてあるものなのだが、なんだかそういった教科書の杓子定規な教えにしたがって、一人ひとりに無理やり妙な葛藤を組み入れている風でもある。サイボーグはなんで俺をこんなからだにした〜と親父にぶーたれてるし、フラッシュのお兄さんの件とか、アクアマンの王との確執だとか、そしてさらにはワンダーウーマンに「私は昔、愛している人がいた。ずっと・・・」なんて言わせて、バットマンに「何百年もそんなことに縛られて生きてる奴なんか」と、吐き捨てられたり。この辺は前二作に続いて、ダークナイトの成功に少しでもしがみつきたい、あのシリアスな脚本になんとか似せれば当たるかも?なんていう意識が相当に根っこを張っているんではないだろうか。

・もう、コミック映画なんだからそんなシリアスな裏話なんていらない。スカッと面白く話をつなげてくれればいいものを、どれもこれも取って付けたように話の中にポツン、ポツンと挿入しているし。テンポを崩して足踏みさせて、ストーリー展開のリズムをぶちこわしてしまっている。特にワンダーウーマンなんてそんなドロドロ怨念じみた女性の内面なんか付け加えないで、思いっきりバサッと敵をやっつける痛快さを徹底して描けばいいものを・・・至極残念。

・アマゾン部族の島にドスンと降りてきたステッペン・ウルフ、凄い重量感で「お、こいつは強そう」と思うわけだが・・・いや、実際にかなり強い! でも、このステッペン・ウルフの顔に全然怖さがない。そんな強力なダークサイドの悪魔の親玉みたいなやつなのに、なんか全然恐怖感が湧いてこない。顔がね、顔がシワクチャ年寄りって言う感じだから、全然強そうに見えないし、怖さがないんだよねぇ。観客恐怖心をもたせるくらいのキャラにしないとだめでしょ。最期はなんかパラデーモンに食いつかれてウギャーなんて叫んでるしさぁ。

・そうそう、アマゾン部族の女王が馬の下敷きになってうごけなくてウーンウーンっていうのも変。あれだけ強い戦士だったのに。本来なら足で馬を宙に蹴り上げてしまうくらいじゃなきゃおかしい。

・そういった首を傾げるような登場人物の描き方に、観ていて不満タラタラであったが、流石にスーパーマンの部分はカッコイイし、ちょっと涙ウルウルくるいい話。最終兵器を出せ!ってロイスを引っ張ってくるあたりはもうあまりに予定調和的に想像できてしまうが、ロイスを見て荒れ狂うこころが落ち着きを取り戻すってのはイイね。(でもキューブを使ってスーパーマンを再生するくだりはなんかチャラいし無理がある)

・と、まあ気に食わないところばかり羅列してしまっているが、一先ず一本の映画としてはそこそこに楽しめはする。ワンダーウーマンがかなり以上にいい出来栄えで、大満足だったので、ジャスティス・リーグにもかなり期待したのだが、その期待にはかなり及ばなかった。

・「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」も次から次へと出てきて、話を追いかけるのば面倒くさくなってきてるし。(お次のブラックパンサーはどうよ??)、「DCエクステンデッド・ユニバース」は第一作、第二作と失敗して、ワンダーウーマンでドンと花火が打ち上がったが、今回のジャスティス・リーグを観ると、今後の展開もごちゃごちゃDCと同じように面倒くさくなりそうだな。

・アメコミのファンってわけでもないし、逐一細かな設定まで追いかけてるようなオタクでないかぎり、段々と話がわけわからなくなってくるから、今後のこういったシリーズは横目でチラチラ観ている程度でいいかも。

:W640


☆予告編で使われていた「あなたを待っていました」っていうシーン。あれはカッコよかったんだけど、本編ではそのあたりが全部カットになっていた。んー、残念、またソフトにしたときに未公開シーンとかディレクターズカットとかで出すつもりなのかね?

ブルース・ウェインがアクアマンに「お前って、あれ、触手みたいなもの出せるのか?」とか聞いた後に、ジャスティス・リーグの5人が地下のようなところに集まって雑談みたいなことをしているシーンがあったが、そこでアクアマンが、1人でべちゃくちゃ喋ってるシーンがあり、その後になんだかウーンウーンとトイレで気張っているようなことをして・・・すると次に光るムチが出てきてそれをワンダーウーマンに渡す。アクアマンはフラッシュに「黙ってろよ」なんていう一連のシーンがあったのだが、なにかコミックでこういうエピソードでもあるのかな? どうもアクアマンがウ◯チみたいにムチを体から絞り出してるような雰囲気でもあったな。w アクアマンが喋ってるシーンは上半身だけ映してて下の方はなにやってるのかわからないし、ひょっとしてカットされたのかもしれないけど・・・あそこ、疑問。

☆日本のCMは酷いね。ワンダーウーマンのときも女性のカッコよさを出すんじゃなく、ギャグ路線で予告編作って外してるなぁと思ったが、今回のジャスティス・リーグの予告編もワンダーウーマンのへんてこな顔とか仕草をわざわざ集め、ナレーションも採用!採用!って、どんだけセンスのないトレーラー作ってるんだよ日本は、と呆れ返るね。なんでワンダーウーマンがこれだけヒットしたのかってところが全く考えられていないじゃないのかね。女性ヒロインの最高のカッコよさ、強さが人を惹きつけた最大の要素なのに、それとは逆にギャグ、コケティッシュおちゃらけ、そんなもので宣伝打ってる。そして同じことをジャスティス・リーグでもやってる。どうしょうもない。

☆スーパーマンは流石にカッコいいが、やっぱり映画の中ではワンダーウーマンが光ってるな、あの変な過去の告白シーンはいらないけど。
:W640