『太平洋の奇跡-フォックスと呼ばれた男』(2011)

・薄っぺら、浅はか、脚本も配役も台詞も画面のなかに移る美術もなにもかもペラペラ。

・ここ10年位に公開された戦争映画の特徴的な場面を丸写ししたような部分があれこれ。これが分かり過ぎるくらい分かる。独自の映像ではなく、あの映画のあのシーンみたいなの撮ろう、ここに入れようというような考えがまざまざと見える、見え透いている。

・まだ生まれて間も無い子供を扱う場面もいけ好かない

・そもそもなぜフォックスと呼ばれた男がアメリカ軍に恐れられ、敬意をうけていたのかってところが全然描き切れていない。

・日本人がからんで太平洋戦争なんかを描くと、さも象徴的にジャップジャップという蔑称を日本人が使うのだが、これがまた日本人の自虐感のあらわれというべきか。「シン・レッド・ライン」でジャップなんて言葉が使われているか? いい加減もうこういう脚本の作品を観ていると本を書いている人間の知識の浅さや軽薄さがミエミエしてきて反吐がでそう。

・多国間で共同製作したということで、プロジェクトとしては大きかったのかも知れないが、映画にスケールの大きさや人間の大きさは宿っていない。

・昭和の末期頃につくられた阿呆らしい戦争映画の流れを平成時代に受け継いでいる作品。

井上真央だけはいい、この女優は本当にいい顔で演技をしている。