『ココ・シャネル』(2009)

・ココの若い頃の恋愛、裏切り、失敗、そういった話がこの映画のなかでは面白い。それを面白いというのはどうかという気もなくはないが、人は誰かが成功してそこにしがみついたり守ったりする姿より、成功までの苦労やその道筋にこそ興味をそそられ、またそちらのほうが魅力的な話にもなる。
・『エディット・ピアフ 〜愛の賛歌〜』に似ているといえば似ている。成功した女性、幼い頃の貧乏、努力、恋愛、別れ、裏切り、中傷、復活・・・結局人間の短い一生はどれも似たようなもの。みな同じような生き方をしているということに辿り着く。

《ガブリエル・ココ・シャネル》
シャーリー・マクレーンとバルボラ・ボブローヴァはいいキャスティングだ、バルボラは余りヒット作にもでていないし、顔が純然たる美人というつくりではないが、それでも女性的な美しさ、可愛らしさ、魅力がある。 シャーリー・マクレーンはもう堂々たる貫録。

・人生何十年も生きていれば、どんな人だって経験からにじみ出た一家言の一つや二つは持っている、語れるものだ。それが著名人なら名言になり、なんでもない人なら愚痴と言われるやしれない。老いたココの言葉は愚痴にもとれるし、苦労して成功を手に入れた者の名言にもとれる。

・妙に奇をてらったり、驚かすような演出はなく、質実な作り、だが映像、編集の技術と工夫、その質は高い。

・特に感動というわけでもないがある1人の人物伝として面白い。