『天然コケッコー』

島根県の浜田という田舎を舞台に、まだ純粋、純朴な中学生とそれを取り巻く子供たちの四季を写した映画・・・・・・・。

●原作は、くらもちふさこの名作少女漫画らしいが・・・はい、いつものことではあるけれど全然知りません。かなり人気があるらしいが、まあそれもあって映画化という話しになったのかもしれないが、ホントにこの原作を映画化する意味ってあったのだろうか? 原作が人気だからってことで映画にもしましょうっ、原作ファンが多いからある程度動員は見込めますよって程度で企画が進んだのではないだろうか? あまり映画に向いているような原作とは思えない。

夏帆初主演の映画ということだが、これはいい感じのキャスティングか? そんなに田舎田舎してなくて、かといって、都会っぽいわけでもなく、まあ実際の田舎にはこんなにキラッとした娘はそうそういないだろうけれど、微妙なラインでセーフという感じだろう。

●映画がスタートして、美しい緑の風景が映し出され、期待感は高まる。新しい転校生の男子がやってきて女の子の間にそわそわした雰囲気が広がる。イイ感じにすすんでいる。暑そうな夏の休みの日に、小学生の子供たちも含めて、海まで歩いて泳ぎに行くというシーンはとてもイイ感じだ。夏のあの緑が生き生きとし、空気の中にまで熱がこもっていて、太陽の日差しが強くて・・・そうあの夏の雰囲気が上手くでている。子供の頃の夏はこんな感じだったなぁって、懐かしさを覚える場面だ。おんぼろの鉄橋を渡るシーンなども、誰しもが子供の頃に経験する小さな冒険を思い出させてくれる。

●その夏のシーンはとても良かったのだが・・・その後がやけに展開が早い。島根の美しい自然の中で暮らす子供たちと、ゆったりと流れる時間を捉えた作品ということではあるが、最初の夏のシーンからはゆったりと流れるべき時間が、あたふたと慌ただしくなる。二時間という枠のなかに、季節がぐるっと一巡しているのだが、季節ごとのシーンが急ぎ足で急かされるように進み過ぎだ。

●え、もう冬が来て、もう春で、え、そんなに簡単にこの季節を終わらせちゃうの? と、四季に合わせたストーリーを作ることに追われるがごとく、作品そのものからゆったりとした雰囲気が無くなってしまった。

●原作のどこを映画化したかったのか、無理して季節を何度も移り変わらせ、性急に時間の流れを作ろうとしなければいいのに。もっと短い期間のエピソードでまとめれば時間的な余裕もできたであろうに。

●映像の良さはあるのだが、なんとも急き立てられるようにストーリーが進んでおり、本当にゆったりとした島根の自然を心に感じるというわけにはいかなかった。

●これは脚本のミス、原作から抽出したエピソードの盛り込みすぎ。切るべきところを切るという作業が出来なかった失敗例であろう。

●夏のシーンまではよかった。

天然コケッコー』公式サイト:http://www.tenkoke.com/
天然コケッコー』出演者インタビュー:http://www.s-woman.net/tenkoke/
ぴあ映画生活天然コケッコー』:http://pia-eigaseikatsu.jp/title/17803/