『ダ・ヴィンチ・コード』

●昨年辺りからテレビでも特集が組まれて何度も話題になっていたダ・ヴィンチ・コード。テレビでの特集では実際にダ・ヴィンチの絵に隠された秘密を解明するような内容で実に興味深くあった。小説の方はなんだか映画を見る前に読むとストーリーがバレバレになるのが嫌だからまだ読んでいない。しかし宣伝は凄かったこともあり、電車の中では常に一人か二人がダ・ヴィンチ・コードを読んでるのが目に付いたな。

●配給会社は80億だかの宣伝を行うということだったけど。コロンビア・ピクチャーズの最大ヒットを狙うということなんだろう。書店でもコンビニでもテレビ、雑誌と多くのメディアを使った同時複合的なプロモーションはなかなかやってるねぇと言う感じ。

●映画だが、やはり内容からか年配の方の観客が圧倒的に多い。もちろんこれだけの話題を作っている映画だからもっと若い普通のカップルやサラリーマン、OLなんかもいたけど、普通の映画よりも確実に年齢層は高かった。

●公開前の予告編を見ているとどうもトム・ハンクスダ・ヴィンチという巨匠の重みに似付かわしくない感じがし、また予告編がもろにサスペンスっぽい内容と分かる作りだったのでちょっと期待するほどではないかな?と思っていた。外国の映画祭ではラストで笑いが起こったなんて記事がヤフーニュースで流れていた。これは公開前に悪い影響が出ると慌てたのか、ヤフーに圧力がかかったのか?(笑)翌日には「称賛の声も」なんて記事が追加されていた。こういうのを見てると、映画に行く前からちょっとダメなんじゃない?なんて先入観をもってしまった。

●実際に観た感想だが、サスペンス物のストーリー展開としては充分に面白い。普通のちょっとしたスパイものや、推理物として考えればかなりいい感じの作品。見ごたえもスリルもある。でも、これだけのプロモーションを行って期待を煽っていたというところからすれば、こんなもんかなぁ?という感じ。もっと強烈なインパクトが欲しかった、期待していた。

●内容はネタバレになるが、キリストが実は人間であった、それを教会が自分たちの組織の権威付けに利用するため神としたのだというようなもの。それをひたすら隠し続けて現在のキリスト教というものが成り立っている、その影の部分にダ・ヴィンチが関わっているというようなものである。ふーんという感じ。これって、言ってみれば日本における記紀編纂と同じだ。朝廷が天皇の権威を確固たるものとするため、天皇が神であると人民に信じ込ませるため、古事記日本書紀の編纂を行い、自分たちに都合の良いように古代の日本の神話を利用し、天皇を神とする歴史を作り上げたという話と。

●同じようなことがヨーロッパのキリスト教社会でも行われていたということなのであろう。

●ラストでダ・ヴィンチの言葉を解釈すると、ルーブル美術館の地下にマグダラのマリアの遺体が眠っているというような暗示で終わりとしているが、これってどうだろう? ちょっとやっぱりこういう終わり方されるとあきれた笑いも出るなと、海外での上映後の爆笑も納得してしまう。

●取り扱っている題材の重さに対して、キャスティングも、演出も、つまり作りが甘いということ。

ダ・ヴィンチ・コード』オフィシャル・サイト:http://bd-dvd.sonypictures.jp/thedavincicode/index.html
ダ・ヴィンチ・コードロン・ハワード監督インタビュー』
http://bd-dvd.sonypictures.jp/thedavincicode/index.html
トム・ハンクス インタビュー』
http://movies.yahoo.co.jp/interview/200604/interview_20060410001.html