『美しい夏キリシマ』 

キネマ旬報で2003年日本映画第一位に選ばれ、その後も日本ペンクラブからも2003年第一位に選ばれ、静かに話題になっていた映画であるが、岩波ホールや小さい劇場での公開が主であったためついにスクリーンで見るということが出来なかった作品。ずっと気にはなっていたがなかなかビデオ化されても見る機会を作れず、3年を経てようやく作品を見ることになった。

終戦当時の雰囲気は、きっとこんな感じだったんだろう。深く暗く重い雲が生活全体にたれ込めるような雰囲気。そう言った感じは良く伝わる。
だが、そういうことを狙ったわけではもちろんないのだろうが、全く面白みが無い。淡々と生活をつづった作文をよんでいるかのような映画だ。

●この作品を2003年のベスト1に選んだのは、いかにもキネ旬であるからであろう。そこがキネ旬の良さであり、良心であるかもしれないが、
ダメさでもあるだろう。

●これは特殊な映画だ。

●心に強く残るわけでもない、だがさっと消えるわけでもない。

●映像の新境地に挑戦してるわけでもない、斬新な演出やカメラワークが有るわけでもない。

●ダメな映画だとは思わないが、決して称賛して好きだと言う映画ではない。

●独特の思想性はこの映画の背景にびっしりと張り付いている。キネ旬がこれを1位に選んだのはそこだろう。

●しずかなる反戦、その当時の記憶。声をはりあげない、心にしみ込む反戦

キネ旬がベスト1に選んでいなかったら見ることのなかった映画であろう。

●その点だけでもキネ旬を評価してもいいのだろうか?

Movie walker『美しい夏キリシマ』:http://movie.walkerplus.com/mv32609/