『メゾン・ド・ヒミコ』 

●「ジョゼと虎と魚たち」で一躍話題になった犬童一心の劇場公開意欲作(と言って良いだろう)。なんで「ジョゼと虎と魚たち」がそんなに注目されたのかっていうのも、その意表を突く訳の分からないタイトルにフックがあったのと、なにはともあれ池脇千鶴が初めてフルヌードで演技にトライした点で注目された。

●今の映画は、注目させるため、ヒットさせるための話題作りがどうにもこうにも優先されていて、その話題作りの一番てっとり早いのがセックス、ヌード、濡れ場。それも有る程度名前の通った女優、清純派女優、美形女優ならゴシップ誌、テレビ番組はもう100%食いつく。(ココで書いているキーラ・ナイトレイ上戸彩伊東美咲・・・などの出てる映画はまるでそのパターン)

柴崎コウオダギリジョー田中泯と最近の映画の顔というか、話題の人物というか、金の掛かる役者を使ってる。金がかかる役者というのは人を呼べる役者だけど・・・・・あとは作品の内容なのだ。

●一言で言えば一部ミニシアターなどで細々と公開されるようなヨーロッパ系の文芸作品のようなテイスト。
ああ、なんだかこの雰囲気はフランス映画祭やらアテネ・フランセのライブラリーで小さいテレビで鑑賞しているようなそんな感じの映画だ。

●ゲイ、ホモ、そのコミュニティーという割と尖った題材を扱い、これもまた衆目を集めるのに役立てようという戦略なのだろう。でもそこから何を表現しているか? 愛か?悲哀か?人生の真の姿か?どれも感じない。たいそうなこと言ってる割には何でもない演説。本来内在している深い問題や考えるべきテーマを一つの餌として使っているだけじゃないか。どの深みからこのテーマを話しているのか、表現しているのか、伝えようとしているのか? 

●音楽は上質だ。細野晴臣はやはりレベルが高いということだろう。音は心に残る。この音楽がなかったら話しはただのつまらんドラマ+ギャグという程度だ。

●ゲイ、そしてそのコミュニティーという奇特なテーマ。オダギリジョー柴崎コウという人気あり目立つ役者。犬童一心という注目される監督・・・それで話題は作れる・・・・でもそれで映画が成功するはずがない。

●「たそがれ清兵衛」であの素晴らしき演技を見せてくれた田中泯がこんな役をしているというのは、ちょっと悲しい。

メゾン・ド・ヒミコ公式サイト:http://himiko-movie.com/
シネマ・トゥデイ 柴咲コウ、オダギリ・ジョーインタビュー:
http://www.cinematoday.jp/page/A0000863
ジョゼと虎と魚たち/障害者が主人公の恋愛映画脚本の書き方」
http://www.cam.hi-ho.ne.jp/la-mer/pro-jozztora.html