『クライマーズ・ハイ』(NHKドラマ) 

●重厚、緊迫、衝撃・・・・・流石NHKが作る番組だ。この重さ、この緊迫感のあるドラマは他では作れまい。

●いつもならよっぽどではないかぎりテレビのドラマ物など見ることはないし、気にもとめていないのだけれど、たまたま番組紹介でこの作品がドラマ化されると知り、絶対に見逃すまいとHDレコーダーの予約を直ぐに入れた。

日航機事故はもう遥か遠い昔のこととなっている、もう20年も前の事故だ。知らない人だって沢山いる世の中だろう。
だが、この事故の記憶があるものに取っては、実際にこのドラマに挿入されている当時のニュース映像、生存者がヘリコプターで釣り上げられる映像を見るとある種の戦慄が走るのではないだろうか。全編をDVDで改めて見直しても、途中途中ハッとし、一旦映像を止めて心にシーンを飲み込ませなければ先に進めないという場面があった。日航機事故、新聞社、山、親子、歪んだ社会組織、さまざまなものがたくみに織り交ぜられている。実際にはテレビや新聞でしか見ていなかった、あの時のあの事故の記憶をもう一度辿ってみたくなった。図書館に行けば縮刷版で当時の新聞も読むことが出来るだろう。20年を経た今、改めて自分の中であの事件を考えてみたい、そう思えた。

●テレビ放映のリアルタイムで観た時はこの作品のスピード感、あまりの重厚さに圧倒され「すごい」の一言であった。
改めてDVDで見直すと、もちろん粗も見えてくる。つっこみどころもある。でもそんなことよりも作品全体に流れる一本の太い芯を感じるとつまらんことよりも、この作品を作った人々に称賛を送りたいという気持ちになった。

●久しぶりに見たこれぞ社会派、これぞNHKといえるドラマであろう。

●この重厚さはNHKだから作り出せたものかもしれない。最近は叩かれることだらけだが、NHKにはまだそういう重厚で真摯な作品を作る会社風土とスタッフが現存しているということであろう。

●少なくともフジやテレビ朝日にはこの作品は作れまい。それがまた会社のカラーでもあり、限界でもあるだろう。

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