『雨鱒の川』 

●GW後半からずっと天気が悪く、この週末も雨ということで、2004年に公開されたけど、観る出来なかった作品をようやく鑑賞。
雨鱒の川http://www.micott.jp/jpn/official_site/amemasu/

●雨鱒というトラウトの名前を聞くとFLY FISHINGやルアーをやってる人なら、ちょっと気になる。綾瀬はるか主演ということだと、そりゃ可愛いし、見てみたいなぁと。ここまでは普通にちょっとしたフックとして引っ掛かっただけなのなのだが、作品詳細を見ていたら監督が磯村 一路・・・・・こりゃ見なきゃなるまいとなった。

●磯村監督は「がんばっていきましょい」で知ったのだが「がんばっていきましょい」はほんのりとした高校生活のなかで、なにかやりたいってもやもやしてる女子高生がボート部を作って仲間と頑張るお話。話しの筋の巧さ、小さなシーンにキュンと胸を刺激するような思い出を引きだすようなカットが良く、そしてなによりも映像の美しさに非常に感銘を受けた作品だった。

●その磯村監督が雨鱒というタイトルをもってして作った作品なら、また再び感動を私に与えてくれるのではと期待した。

●作品は・・・・んー、残念ながらちょっと???か。進行がほんとにゆっくりだ。前半一時間は子供の頃の話だが、子供達の演技がギクシャクしてる、そして大人の演技もなんともあざとさが見えるような・・・・編集もなんか雑に感じたり・・・と少し残念な感じ。後半になって段々良くなったかなと思ったが、余りに短絡的に話しを進めすぎちゃってるし、伊藤歩(スワロゥテイルのときはひときわ目立ってた)が出てきてからも「????」という話しの流れだし・・・・。

●単衣に脚本が練り込まれていない、話しの配分が悪い。

ぴあ映画生活雨鱒の川』:http://pia-eigaseikatsu.jp/title/10778/
CINEMA TOPICS『雨鱒の川』:http://www.cinematopics.com/cinema/works/output2.php?oid=4319
s-woman.net『雨鱒の川』:http://www.s-woman.net/tamaki2/01_frame.html

●でも、川で泳ぐ雨鱒の映像、これは凄い。もちろんCGIだが、雨鱒が水の流れの中で体をくねらせ、ヒレを微妙に動かして泳ぐ姿がとてもとてもCGには思えない精度。しかも水面から水中にいる魚を見るあのちょっと見えにくい、光がじゃましてる感じまでもが巧く表現されている。この映像の凄さにちょっと驚いた。

●もし撮影監督が長田勇一だったら、映像はもっともっと美しく、特に川の水の輝きはハッとするくらい美しくなってたんじゃないかな?なんて思う。前述の「がんばっていきましょい」は磯村監督と長田勇一の組み合わせがあの美しい映像を作りだしたと思っている。

  • 長田勇一・・・・・たぶん日本で一番水の美しさをフィルムにとらえることの出来るカメラマンだろう。

●どういう経緯かパラマウントがこの邦画の配給からDVD販売までやっている。最初にあのパラマウントのジングルが流れると違和感もあるが、昨今は洋画メジャースタジオの日本支社も本社から送られてくるマンネリ化したハリウッド作品だけでは売上げ確保も厳しくなり、どんどん邦画、韓国映画などに手を出している状態。それが悪い方向にいかなければいいが。メジャーの某社は半分以上がアジア系映画の営業になってるし・・・・・。

●このDVD、驚くほど安くなっている。2枚組みスペシャルエディションがネットでは新品未開封で2000円ちょっとで売られている。(表示価格3980円)たぶん売れなくて大量に余ったのを捌いてるんだろう。

●最近の傾向として初回で作った高めの値段設定のコレクターボックスやスペシャルエディションが数ヶ月後に、酷いときは発売から一ヶ月もするとアマゾンや地方ネットショップなどで40%オフや60%オフで売られるということがある。邦画でも「世界の中心で愛をさけぶ」「いま、会いにゆきます」などは半年を経たずに半額になった。洋画でも「宇宙戦争」は売れ残って価格がどんと安くなった。安くなってから買えばいいや的な気持ちはマーケットに広がりつつあるし、この先の映像パッケージメディアのビジネスは厳しくなるだろう。